どうする 日本の環境・エネルギー、CO2 25%削減の行方 

地球を考える会フォーラム ~エネルギーと環境の調和・低炭素社会の実現に向けて~

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「原子力についての理科教育シンポジウム」

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 第37回 小沢鋭仁 環境大臣
     
 

2010年5月31日に開催した「第37回 地球を考える会」。
今回のキーノートスピーチは、環境大臣の小沢鋭仁氏による「環境と成長の両立を目指して」です。小沢大臣は政府の環境政策について、①世界の環境政策のトップを走る②環境と成長の両立を図る―ことが基本と強調しました。そして、昨年末のコペンハーゲンでのCOP15の意義と、今年末COP16に向けて、国際的な合意形成に日本が先頭に立って努力したいと述べました。さらに国内では、「地球温暖化対策基本法案」の成立に向けた意気込みを示すとともに、中長期の温室効果ガス(主にCO2)削減のためのロードマップである“環境大臣試案”を説明。これをベースに、地域や家庭を中心とする、環境と成長を両立させるための温暖化防止の具体策を説明しました。

第37回 小沢鋭仁 環境大臣

大臣スピーチ―概要
「基本的立場」
昨年の国連総会で鳩山首相(当時)が発表したCO225%削減は、議論が充分尽くされて発表されたものではないのではないか、という批判が当時あった。しかし、これは政権につく前の民主党の時に、岡田克也さんが本部長、私が副本部長の会議で、何十回も議論を重ねて国民の審判を仰いだものだ。
我々としては、子供や孫の時代に生命の星「地球」を豊かな自然を残して渡していきたい。そのためにどんなに金がかかろうとも、どんなに負担が大きかろうと、環境政策で世界のトップを走り、世界をリードして地球を守り、温暖化防止に努めるというのが、我々の政策の原点であり、出発点だ。その上で加えれば、今日、積極的な環境政策によって、経済成長につなげていくという観点が世界の潮流だ。

「コペンハーゲン・COP15での日本の立場」
COP15では我々は、①中国、米国が入らない国際的な枠組みは不十分、②京都議定書の単純延長は絶対受け入れられない、③島嶼国、途上国など温暖化で被害を受けている国は積極的にサポートしていく―というスタンスで臨んだ。会議では色々と大変な局面もあったが、「コペンハーゲン合意」を得られたのは、半歩前進ではないかと思う。会議が難しかったのは、新興国が途上国を巻き込んで途上国に発言をさせた面があり、新興国としては議論が進展すればある程度自分達が責任を負わなくてはならないことを恐れて、議論が進展しなかったとも言える。しかし、最終的には「コペンハーゲン合意」に米国、中国も入ったので、そこは評価している。これを今度は条約化、法制化していく作業をメキシコで開催されるCOP16でやらなくてはいけない、というのが我々の今の立場だ。

「COP16に臨む日本のスタンス」
メキシコで開催されるCOP16への展望は、一言で言うと大変厳しいものがある。しかし、日本は全体合意の実現についてはあきらめない。先に来日したメキシコのカルデロン大統領との会談でも、日本側はCOP16の成功に向けての協力を表明した。
この国際的な合意の実現にあわせて、地域間、二国間などでの環境問題についての協力も実現していかなくてはならない。5月に札幌で、日本・中国・韓国の三カ国環境大臣会合を行った。中国はこの問題に大変前向きに対処してきている。日本としては全体合意をあきらめないが、同時に、地域間、二国間の協力も進めていこうと思う。

「地球温暖化対策基本法案について」
中長期目標について、「公正かつ実効性ある国際的枠組みの構築や意欲的な目標の実現の合意を前提として、2020年までに25%を削減、2050年までに80%を削減」という条件をつけた法案になっている。法律としては大変ユニークな法律だと思っている。「2050年までに80%を削減」という長期目標については、ほとんどの野党も合意している。盛り込まれている基本的施策については、これまでの政権とは異なる重要な三本の施策、国内排出量取引制度、地球温暖化対策税、全量固定価格買取制度、が提示されており、これを実現するために国会で審議をして、日本の環境政策の基本法として是非とも成立させていただきたいと考えている。

「中長期ロードマップについて」
基本法に関連して各界から、「2020年までに25%削減、2050年までに80%削減の実現」に向けての道筋が良く分からないという指摘もあり、中長期ロードマップを「環境大臣試案」として提示した。しかし、国内での真水の削減分については、現時点では国際交渉上出せない。ただ、これから経済産業省がエネルギー基本計画を明らかにしたりする中で、具体的な数字も出てくるので、それらを踏まえて最終的な政府としてのロードマップを作成したい。

「原子力発電についてのスタンス」
「中長期ロードマップ」では、エネルギー供給の基本の中に、原子力発電を位置づけて作成している。稼働率は88%を想定している。今までの最高が84%なので今回はかなり高めの数字を設定している。私は九州電力の川内原子力発電所の環境アセスメントについて、温暖化防止に有用との立場から初めて意見書を出した。ただ、原子力発電については、最終処分場の問題もあり難しい面もある。英知を出して解決をしていかなくてはならない。

「基本法に盛り込まれた基本的施策について」

  1. 再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度の創設、再生可能エネルギーの利用の促進―現在、経済産業省が作業を進めている。
  2. 地球温暖化対策のための税の平成23年度からの実施に向けた検討―23年度実施に向けて産業界などからもヒアリングをし、具体的な話にしていきたいと考えている。この種の税については、ヨーロッパでも産業政策の観点から各種の配慮がなされているようだ。
  3. 国内排出量取引制度の創設―総量方式、原単位方式のどちらを取るかでイデオロギー論争のようになっている。問題は排出量の全量をどうコントロールするかということで、総量方式でやっても全部をカバーできない。総量方式を基本としつつ原単位方式も検討していくという書き方をしている。

この制度がマネーゲーム的なものにならないように、どう歯止めをかけていくかということを真剣に考えて行きたい。本質はCO2の排出を抑制するということなので、単に、金融商品を作るためのものではない。ただ、取引がなければ成立しないことも事実なので、工夫をしていきたい。



「海外から学ぶこと、環境公共事業でCO2削減を」
デンマークは、「環境と成長」というテーマを考える時、色々な示唆を与えてくれる。国民負担率は世界一なのに、国民の幸福度調査では世界一。国民は持ち家が多く、サマーハウスを持っている。なぜそういうことができるのか。環境の問題で言えば、コペンハーゲンは地域熱供給システムの普及がほぼ100%。国全体では約6割で、そのエネルギー源は工場や廃棄物焼却場の廃熱などだ。化石燃料はほとんど使用していない。
私はこういう事業を環境公共事業と名づけている。地域が取り組む形で具体的に中長期ロードマップに落とし込んで行きたい。これによって地域・家庭でのCO2を減らしていくことをやって行きたいと思う。
デンマークでは自転車道路が充実しており、通勤、通学の40%が自転車だ。
これを60%にしたいと言っている。自転車レーンを日本でも本格的に地域で公共事業としてやればどうだろうか。世界ができてなぜ日本でできないのか。来年の統一地方選挙は環境政策を競う選挙にしたいと思っている。
家庭でも太陽光発電、高断熱化、高効率給湯器などを導入する際、リースで購入、生まれた電力を売電してリース代を支払うという全く初期投資がかからない新たな仕組みも考えている。快適に暮らしながらCO2を減らしていくことを目指したい。